ホメオパシー療法に携わる「シスター・ベルナルデ」は、ガンや関節痛、不眠症の患者に大麻を処方しているという[2023年9月3日、メキシコ中部](C)REUTERS/Raquel Cunha

[ロイター]身なりは修道女のそれであるが、彼女たちはカトリックでもその他の宗派に属するものでもない。2014年に設立された「シスターズ・オブ・ザ・ヴァレー」という国際的なグループの一員で、大麻の治癒力の福音を広めることを誓っている。

 約20の州で娯楽用大麻が合法化されているアメリカでは、CBDティンクチャー、オイル、クリームをオンラインで販売し、昨年は50万ドル以上を売り上げた。しかしメキシコでは、大麻は法的にはグレーゾーンにあり、その生産の多くはいまだに犯罪組織と結びついている。製品の売上は米国のシスターらに比べればほんのわずかで、年間1万ドル程度である。麻薬戦争が国を荒廃させ、キリスト教が社会に浸透しているメキシコにおいて、大麻を吸う修道女の姿はむしろ反逆を示すのだ、と彼女たちは言う。

 インスタグラムを中心としたソーシャルメディアに頻繁に投稿し、ネット上では目立つ存在だが、彼女たち(総勢5人)は営業場所について多くを語ることに慎重だ。1部屋だけが完成しているコンクリート造り2階建ての隠し店舗で商売をしており、ロイターが訪ねた際には店のカーテンは引かれたままだった。大麻の束は、洗濯物干しやストーブの中など、隠し場所で乾燥されていた。

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