イランへの接近と同時に欧米諸国との関係改善も図っている[共同記者会見に臨むエルドアン大統領(左)とイランのエブラヒム・ライシ大統領=2024年1月24日、トルコ・アンカラ](C)AFP=時事

 2023年後半にトルコ外交を大きく動揺させたのは、2023年10月7日に勃発したハマスのイスラエル領内への奇襲攻撃およびその後のイスラエル軍のガザ侵攻であった。このイスラエル・ハマス紛争の前まで、トルコとイスラエルの関係は良好なものとなっていたが、敬虔なイスラーム教徒(ムスリム)のレジェップ・タイイップ・エルドアン率いる親イスラーム政党である与党第一党の公正発展党としては、ガザの惨状を放置することはできなかった。紛争開始から1週間ほどは静観していたが、10月中旬から次第にハマスを擁護しイスラエルを非難する言動が目立つようになった。

2023年後半におけるトルコ外交の3つの動き

 この問題が勃発して以来、エルドアンはパレスチナのマフムード・アッバス議長、イスラエルのイツハク・ヘルツォーク大統領との会談をはじめ、各国首脳と対応について積極的に協議している。ただし、トルコはロシアによるウクライナ侵攻への対応と異なり、双方の仲介者としての存在感は見せていない。国内のエルドアン支持者の多くはパレスチナの人々を支持しているため、トルコ政府としてもイスラエル政府との密接な協議が難しくなっている。

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