北朝鮮“今そこにある危機”

Foresight World Watcher's 4Tips

執筆者:フォーサイト編集部2024年2月3日

ヨルダンの米軍拠点で死亡した米兵の遺体を迎えるバイデン大統領[2024年2月2日、アメリカ・デラウェア州ドーバー空軍基地](C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。ヨルダン北東部の米軍拠点に対する無人機攻撃への報復として、2月2日、米軍の攻撃が始まりました。親イラン勢力への空爆はイラクとシリアの85カ所以上で行われたと米政府は発表しています。

 米国もイランも直接的な軍事衝突は望んでいないとされるものの、今回の事態に繋がった1月28日の米軍への攻撃のように自国兵士の命が失われれば、米バイデン政権は国内世論の圧力からも報復を行わねばなりません。11月の大統領選に向け、予期せぬ事態の危険は高まります。

 こうした中東情勢の緊迫化を、北朝鮮はどのように見ているか。思い出されるのは2010年3月の韓国哨戒艇「天安」沈没事件です。北朝鮮軍の魚雷攻撃によるとされた「天安」沈没では韓国兵に46名の死者が出ました。当時の李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領は報復を決意し、事態のエスカレーションを恐れた米オバマ政権がこれを制止したとされています。しかしこの時、仮に米兵にも死者が出ていたらどうだったか。

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