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【前回まで】CIAのレビンは、在日米軍の引き揚げと中国に取り込まれてのスパイ容疑で、都倉に圧力をかけてきた。彼の要求は、米国のアセット(現地工作員)となることだった。

 

Episode5 四面楚歌

 

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 事情聴取を終えると、午後11時を回っていた。夕食に誘ってくれた江島元総理には、聴取の途中でお詫びの電話を入れたが、それから6時間も経過している。

 疲労困憊で、呼吸をするのすら辛かった。

 だが、まだ、政務は終わらない。

 これから首相官邸に向かわなければならない。公用車では、第一秘書の木戸彩也子が待っていた。

「大丈夫ですか」

「見ての通りよ。詳しい話は、明日じっくりするわ。だから、まず教えて。こんな時間に、私が官邸に呼ばれた理由は?」

「舩井防衛大臣が更迭されるそうです」

 それが、私とどう繋がるんだ。

「おそらく、後任を、先生に託されるようです」

 私が防衛大臣ですって!

 年上の木戸は、父の代からの秘書だった。都倉が26歳で初当選して以来、ずっと側で支えてくれている。都倉にとって、秘書というより家庭教師のような存在だった。

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