電力供給を輸入に頼るパレスチナでも太陽光発電の導入が進められてきた[ヨルダン渓谷北部の太陽光発電設備とパレスチナ人技術者=2022年6月30日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区](C)Nasser Ishtayeh / SOPA Images/Si via Reuters Connect

 2023年12月13日、アラブ首相国連邦(UAE)で開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が幕を閉じた。開催国UAEの他、サウジアラビアやオマーンなどの湾岸産油国は近年、化石燃料とクリーンエネルギーとの双方向的なアクションを進めている。その代表的な取り組みが、再生可能エネルギーから製造する次世代燃料「グリーン水素」プロジェクトである。

 しかし、クリーンエネルギー開発を目指すのはUAEやサウジアラビアに代表される湾岸産油国のみではない。日照量が豊富な「サンベルト」と呼ばれる地域の一つである中東地域の優位性を活用し、中東非産油国がグリーン水素プロジェクトへ着手することで、新たなエネルギー生産国として台頭しようとしている。この底流にあるのは、気候変動対応に最も積極的な欧州諸国による支援や政策的措置の影響である。

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