朝鮮人民軍の西部地区重要作戦訓練基地を訪問した金正恩国務委員長。「現地視察」という表現が使われたのは現政権下では初とみられる(『労働新聞』HPより)
 

 3月4日から始まった米韓合同軍事演習「フリーダム・シールド(自由の盾)」を非難する同日付の国防省代弁人談話が翌5日付『労働新聞』第3面に掲載された。「敵どもの冒険主義的な行動を引き続き注視し、朝鮮半島地域の不安定な安保環境を強力に統制するための責任ある軍事行動を継続する」と述べられたほか、米韓合同軍事演習は「人民の福利増進のために経済建設に大規模な軍兵力が投入された朝鮮民主主義人民共和国の現実と明確な対照をなしている」との認識が示された。「地方発展20×10政策」の推進に多くの軍人を動員していることを意味しており、全体として抑制的なトーンの談話となった。

 7日付は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が西部地区の重要作戦訓練基地を現地視察したとの記事、8日付は朝鮮人民軍大連合部隊(複数)の砲撃訓練を指導したとの記事がそれぞれ1面トップを飾った。いずれにおいても、朴正天(パク・ジョンチョン)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が同行し、強純男(カン・スンナム)国防相や李永吉(リ・ヨンギル)軍総参謀長らが現地で出迎えたとされる。最高指導者による「現地視察」という言い回しは、金正日(キム・ジョンイル)政権末期に使用された例があるものの、金正恩政権下では初見である。

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