連載小説 オペレーションF[フォース] 第61回
2024年4月20日

(C)EPA=時事[写真はイメージです]
【前回まで】衛力強化資金対策室で周防の上司となった土岐は、寄付で防衛費増額を賄う江島元総理の法案を否定する。土岐は対案として、法人税増額と安全保障税新設を主張した。自衛隊幹部との対立を恐れず、都倉大臣は防衛費の精査と防衛力強化策を進めようとする。陸自隊員半減の真剣な検討とミサイル迎撃の徹底を、都倉は統幕長らに命じた。
Episode6 一世一代
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その週末、土岐は周防に誘われて世田谷区宮坂区民センターで開かれた「平和と安全保障を考えるタウンミーティング」に参加した。
当初は、60人程度と考えて会議室をおさえていたが、メディアの取材も多く、急遽会場を体育室に移しての開催となった。
参加者は、約200人にのぼり、タウンミーティングとして意見交換するには、多すぎる気がした。
土岐らは、主催者側席の背後の壁際に用意されたパイプ椅子に案内され、大臣の到着を待った。
「やっぱり、東京でやると雰囲気が違いますね。メディアも半端なく多い」
テレビカメラだけでも、6台もある。
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