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【前回まで】都倉防衛大臣の「反撃発言」の直後、イージス艦による迎撃が成功した。暁光新聞の草刈は、防衛費について話したいという財界のご意見番・五條良朔の自宅に赴く。

 

Episode6 一世一代

 

11(承前)

「今のアメリカは、自国の繁栄しか頭にない。それどころか、世界秩序を無視してでも、自国の生き残りに汲々としている。

 一方で、中国にも問題は多い。現在の国家主席の頭の中は、誰にも分からない。まさかとは思うが、アメリカと事を構えないと決めつけることは、できない。

 そんな状況の中で、我々はアメリカから捨てられようとしている。それが分かった以上、自国のことは自国で守るという至極当然の発想が浮かぶものだろう。

 しかし、この国に危機感はないし、安全保障なんて他人事だ。本当にそれでいいんだろうか」

 その問いは、草刈に向けられたわけではないだろう。それでも、少しだけ五條に、自分が書いた記事が響いた理由が分かった。

 安全保障なんて、誰も気にもしていないし、生活に影響が出るまで考えもしない。あの記事では、その点について、大勢の一般人に話を聞いてまとめたのだ。

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