恐怖の増大――患者と病院への偏見と差別(2020年5月)
2024年5月13日

医療従事者への敬意と感謝を示すため航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が飛んだ[2020年5月29日、東京都世田谷区の自衛隊中央病院](C)時事
敬遠される“コロナ病院”
2020年5月のある日、国際医療福祉大学成田病院は毎日新型コロナウイルス感染症への対応が続き慌ただしい状況であった。私は朝、電車が遅れて遅刻しそうになり成田駅からタクシーに飛び乗った。運転手に「国際医療福祉大学成田病院に向かってください」と話すと、「あぁ、あのコロナの病院ですよね」と返事があった。「まだ1度も行ったことがないもので。でも場所はなんとなくわかります」と運転手は付け加えた。
この病院の最寄りの駅は成田駅であるが、駅からバスで15分くらいかかる。自家用車で来院する場合を除けば、バスの本数も1時間に2本程度なので、タクシーの利用者は多いであろうと思い込んでいた。そのため、開院して既に2カ月は経っているのに、1度も客を病院まで運んだことがないということが意外であった。なんとなく病院そのものが避けられているなという雰囲気は感じてはいたものの、直接、地域の人と話す機会が無かったため自覚していなかった。ただし、地元の人たちはこの病院のことを“コロナ病院”と呼んで敬遠しているという話を後日、耳にした。
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