バイデン政権の対中制裁関税は「なんたる茶番」

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執筆者:フォーサイト編集部2024年5月19日
中国にとって「プーチンは西側諸国との闘争においてあまりにも有用」との指摘も[国交樹立75周年と中ロ文化年開幕を記念するコンサートに出席したプーチン大統領と習主席=2024年5月16日、中国・北京](C)AFP=時事

 ウラジーミル・プーチン露大統領が、5月7日に始まった通算5期目の任期で最初の外遊先に選んだのは中国でした。習近平国家主席との共同声明は「戦略的関係の深化」を押し出したものになりましたが、ロシア・ウクライナ戦争への関与のあり方を筆頭に思惑が必ずしも一致するわけではなく、両国関係はプーチン訪中後も従来の延長線上に止まるでしょう。

 ただし、その「戦略的関係」が特に経済・貿易問題について語られたことは重要な意味を持つと思われます。中国にとって経済問題は内政安定のためにも喫緊の課題。過剰生産に対する欧米の批判が高まる中で、今回は国際社会に対して中国の正当性をアピールできるチャンスでした。実際、米国は保護主義へと急速に舵を切りつつあるようです。「グローバルなサプライチェーンの安定」が、米国主導の国際秩序を攻撃する絶好の材料に浮上している状況について、欧米メディアからも米国への批判の声が上がっています。

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