公定歴史教科書『ロシア史:1945年から21世紀初頭』は、ウクライナ侵攻に関するプーチン大統領の各種判断を正当化する[クレムリンで行われた通算5期目の就任式に臨むプーチン大統領=2024年5月7日、ロシア・モスクワ](C)EPA=時事

 ウラジーミル・プーチン大統領は、2022年2月24日に行った国民向けの演説で北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大などロシアの主張に耳を傾けない西側への恨みを述べた上で、「特別軍事作戦の目的は、8年間、ウクライナ政府によって虐げられ、ジェノサイドにさらされてきた人々を保護すること」であり、そのために「ウクライナの非ナチ化と非軍事化を進める」とし、ウクライナへの軍事侵攻を発表した1

 これを受け、日本を含むG7各国が主導し「前例のない大規模な経済制裁」をロシアに科した2。世界から非難される中、プーチン大統領は軍事侵攻を正当化するために、特に国内では若年世代を対象にした愛国教育を推進している。

 その一環として歴史教育にも関心が集まり、元文化相で現在大統領補佐官のウラジーミル・メディンスキー氏と、外交官や諜報機関員の養成機関として知られるモスクワ国際関係大学学長のアナトリー・トルクノフ氏が新たな歴史教科書『ロシア史:1945年から21世紀初頭』を執筆、ウクライナへの軍事侵攻に至る背景などプーチン大統領が主張する「ロシア側の視点」が説明されている。

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