
十倉会長の胸中は (C)新潮社
「何が問題なのか」――。昨年12月、加盟企業による自民党への献金の是非を問われた経団連・十倉雅和会長は、記者団を前にこう言い放った。
今なお、岸田政権を大いに揺るがしている派閥の「裏金問題」。この原資となっているパーティ券収入の多くは企業の“まとめ買い”によるもので、実質的な企業献金の体を成している。
さらに、自民党の政治資金団体である「国民政治協会」に対しても、毎年多額の企業献金が行われている。その額、実に24億円。そしてこの大部分は、経団連が主導しているものなのだ。
“政治とカネ”の問題が指摘されて久しい。それでもなお、なぜ企業は政治に対する寄付を行うのか。主導する経団連の目的は何なのか。そして冒頭の会長発言の通り、そこには本当に「何の問題もない」のか。これらを明確に理解するには、財界の総本山・経団連という組織を、歴史から繙(ひもと)いていく必要がある。
経団連とは
そのルーツは、戦後間もない1946年にまで遡る。GHQの影響下、日本経済の再建・復興を目的として、現在の経団連の母体となる経済団体連合会が発足。以来、経済政策に関する提言などを通じて、我が国の財界を牽引してきたとされている。2002年には、経営者の団体で、労使関係の安定化を目的とする日本経営者団体連盟(日経連)を吸収合併し、日本経済団体連合会が発足。12年の一般社団法人化を経て、現在の経団連の体制が整えられた。
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