
欧州はウクライナを放っておけないことをマクロンは十分に理解している。しかし同時に、その踏み込んだ姿勢に世論は不安を抱いているとペリノー氏は言う (国末氏撮影)
欧州議会選が6月6~9日、欧州連合(EU)加盟27カ国で実施され、右翼ポピュリズム勢力の大幅な伸張が予想されている。ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争によって世界の緊張が高まる中で、欧州政治はどこに向かうのか。フランスでは、右翼「国民連合」が、大統領エマニュエル・マクロンの与党を大きく上回る支持を集め、2027年次期大統領選にも影響しそうな情勢である。
フランスを代表する政治学者であるパリ政治学院のパスカル・ペリノー名誉教授(73)は、欧州とフランスの選挙分析を進めるとともに、特に右翼の動向と支持の推移に関して、綿密な研究を続けてきた。パリに同氏を訪ね、情勢分析と今後の展望を聞いた。
野党の分裂に助けられている政権
――マクロン大統領が再選されて、すでに2年が過ぎました。
2022年前回の大統領選の決選投票では、現職のマクロンが、右翼「国民連合」のマリーヌ・ルペンに比較的大きい差をつけて、当選を決めました。この選挙は、2つの面で極めて例外的だったといえます。
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