日本は、イスラエルに引きずられるアメリカに引きずり込まれて、国際社会における法の支配をめぐる「二重基準」の泥沼に陥り始めている[イスラエル軍の攻撃後に避難区域でテントの点検をするパレスチナ人=2024年5月18日、ガザ地区南部ラファ](C)EPA=時事

 深刻度を増す「ガザ危機」は、とどまるところを知らない。ガザにおける人道的惨状が深刻であることは、言うまでもない。加えて、国連安全保障理事会、国連総会、国際司法裁判所、そして国際刑事裁判所で、ハマスのみならず、イスラエルに批判的な内容の決議・命令等が繰り返し発出されている。しかし当事者は全く受け入れる様子がなく、軍事行動が続いている。

 この状況で、日本外交は、困惑しているように見える。もちろん日本にできることは限られている。「危機」が解決されないことは、日本のせいではない。ただそれにしても、「危機」に狼狽している様子は、今後の日本外交に否定的な影響を与えていく恐れがある。

 日本政府の立場は曖昧だ、と言われる。あるいは、日本の外交姿勢は揺らいでいる、とも言われる。それが問題だ。日本外交には戦略的な一貫性が欠如しているという評価が国際的に固まると、どうしても日本の国際的立場は弱まっていく。現状分析を怠らず、将来への布石を構想している姿を、世界に見せていく方法を考えるべきだ。

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