生成AIの急速な普及を可能にするためのデータセンターの増大や半導体製造の拡大などが、電力需要を一気に押し上げていく[半導体製造企業ラピダスの工場の建設現場を視察に訪れた(右から)斎藤健経済産業相、ラピダスの小池淳義社長、三橋剛北海道副知事、横田隆一千歳市長=2024年5月19日、北海道千歳市](C)時事

 エネルギーは日々の暮らしや経済・産業活動に必要不可欠の重要物資である。時には国家運営の安定・発展などを左右する「戦略物資」としての側面を強めることもある。この重要なエネルギーの安定供給を確保すること、すなわちエネルギー安全保障は、国家のエネルギー政策における基本中の基本である。

 エネルギー安全保障には様々な側面があるが、1973年の石油危機以降、石油の安定供給が常に世界全体でも最大の重要課題であり続けてきた。世界経済や国際政治、地政学的情勢や国家間の力関係への影響などの面において、最大の国際エネルギー貿易財である石油の重要性が際立っているからである。気候変動対策強化の中で石油需要のピーク到来が喧伝されるようになっているが、石油の重要性・戦略性は今後も相当な期間において維持され、石油に関するエネルギー安全保障は重要であり続けよう。

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