
モリス・チャンは魏哲家に技術開発、製造、営業の主要3部門を経験させ、「完璧なCEO」に育て上げたという[熊本工場の視察に訪れた岸田文雄首相(中央)と握手するTSMCの魏CEO=2024年4月6日、熊本県菊陽町](C)時事
半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は6月4日の定時株主総会後の取締役会で、魏哲家(C.C.ウェイ)を董事長(会長)に選出した。
受託製造の専業企業として1987年に設立されたTSMCは、半導体生産の最先端を担う企業に成長。2020年には受託製造市場の5割を超え、今やアメリカ企業を中心に約500社の顧客を有するという存在感を持つに至っており、米インテル、韓国サムスンの追随も許さない圧倒的な強さを誇っている。
TSMCをこれほどの巨大企業に育てたカリスマ創業者のモリス・チャン(張忠謀、92)は、2018年に会長の座を退き、劉徳音(マーク・リュウ)と魏哲家が協力して経営する二頭体制となった。そしてこの6月に劉は引退、魏が董事長兼CEO(最高経営責任者)として、世界のサプライチェーン顧客や各国政府との折衝に当たることになる。
AIや最先端技術の頭脳を担う半導体生産の鍵を握る企業を引き継ぐ魏哲家とは、どんな人物なのだろうか。
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