西側武器によるロシア領攻撃問題から見える「米国の板挟み」と「抑止」の行方
2024年6月14日

今後も根本的な意味での慎重姿勢は続く可能性が高い[NATO外相会合後の記者会見に臨んだブリンケン米国務長官=2024年5月31日、チェコ・プラハ](C)EPA=時事
2024年5月31日、チェコのプラハで開かれていたNATO(北大西洋条約機構)の非公式外相会合の後の会見で、アントニー・ブリンケン米国務長官は、米国が供与した武器でウクライナがロシア領を攻撃することを承認したと発表した。米国の方針はその前からすでに報じられており、それを確認した格好だ。ただし、同時に、攻撃対象はハルキウ州への攻撃に関連する近隣地域の軍事目標に限定した。加えて、ウクライナからの要請は過去数週間でもたらされたものだとも強調した。
限定的とはいえ、バイデン政権は、米国が供与した武器を使用したロシア領攻撃を認めてこなかった従来の方針を転換したのである。ロシアの反応を含めて、ここにいたる過程と方針転換の内容からは、ロシアによるウクライナ全面侵攻への西側の対応に関するさまざまな特徴が浮かび上がる。結論を先取りすれば、慎重さを崩さない米国、ウクライナや他のNATO諸国に押されて動く米国、NATOとの直接対峙を恐れるロシアなどである。
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