減塩食品の塩味を増強、イグノーベル賞技術がキリンの「電気スプーン」で食卓に
2024年6月16日

明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室との共同研究で開発、減塩食品の塩味を約1.5倍に増強させる (C)REUTERS/Tom Bateman
[東京発/ロイター]キリンホールディングスは、塩分を増やさなくても塩味を強化し、健康的な食生活を促進する電気スプーン「エレキソルト スプーン」の販売を始めた。5月20日に製品発売を発表。昨年イグノーベル賞を受賞した技術の初めての商業化となる。
定価は1万9800円。5月中に200本の電気塩スプーンをオンラインで販売し、6月には日本の小売店でも限定販売する。5年以内には世界で100万人のユーザーを目指す。海外での販売は来年開始を予定している。
スプーンは、明治大学の宮下芳明教授と共同開発したもの。宮下教授は以前、電気箸のプロトタイプで味を強く感じさせる効果を実証した。スプーンはプラスチックと金属で作られ、スプーンから微弱な電流を流してナトリウムイオンの分子を舌に引き寄せることで、塩味をより強く感じさせる仕組みだ。
キリンはビール事業からヘルスサイエンス事業への転換を図っており、こうした減塩技術は日本にとって特に重要であると述べている。日本人の食塩平均摂取量は1日に約10グラムで、世界保健機関が推奨する量の2倍に達する。
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