連載小説 オペレーションF[フォース] 第70回
2024年6月22日

(C)EPA=時事[写真はイメージです]
【前回まで】北朝鮮のミサイル迎撃に成功したその日。磯部と樋口は祝杯を上げながら、都倉大臣への信頼と不安を語り合う。暁光新聞の草刈は、財界の重鎮の発言に戸惑っていた。
Episode6 一世一代
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“日米安保で最も恩恵を受けた財界が、率先して防衛費増のために義務を果たさなくてはならない。だから、政府は赤字国債などに頼らず、法人税を上げるべきだ。
心ある経営者を募り、財界の総意として、総理に法人税増をお願いしようと思う“
そこまで書いて、草刈の手が止まった。
きれい事過ぎる。「財界の総理」と呼ばれた五條良朔の提言として、一定のインパクトはある。しかし、これでは引退した老財界人の放言に過ぎないのではないか。
そもそも五條の発言を、そのまま真に受けていいのだろうか。
著名人の発言には、意図がある。
ましてや今回は、五條本人から売り込まれたものだ。
暁光新聞とすれば、財界に隠然たる影響力を有する大物の単独インタビューを掲載できるのだから、大歓迎だろう。
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