(C)EPA=時事[写真はイメージです]

【前回まで】北朝鮮のミサイル迎撃に成功したその日。磯部と樋口は祝杯を上げながら、都倉大臣への信頼と不安を語り合う。暁光新聞の草刈は、財界の重鎮の発言に戸惑っていた。

Episode6 一世一代

 

17

 “日米安保で最も恩恵を受けた財界が、率先して防衛費増のために義務を果たさなくてはならない。だから、政府は赤字国債などに頼らず、法人税を上げるべきだ。

 心ある経営者を募り、財界の総意として、総理に法人税増をお願いしようと思う“

 そこまで書いて、草刈の手が止まった。

 きれい事過ぎる。「財界の総理」と呼ばれた五條良朔の提言として、一定のインパクトはある。しかし、これでは引退した老財界人の放言に過ぎないのではないか。

 そもそも五條の発言を、そのまま真に受けていいのだろうか。

 著名人の発言には、意図がある。

 ましてや今回は、五條本人から売り込まれたものだ。

 暁光新聞とすれば、財界に隠然たる影響力を有する大物の単独インタビューを掲載できるのだから、大歓迎だろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。