ロシア軍、東部での夏の攻勢を準備か

執筆者:岩田清文2024年6月27日
6月18日以降、ロシア軍は東部ドネツク州での攻撃を激化させ始めたとみられる(筆者の分析に基づき編集部作成)

 5月10日以降の、ウクライナ北東部ハルキウ州で攻撃を仕掛けていたロシア軍の作戦が、鈍化してきたようだ。作戦当初の数日間は攻撃も進展し、国境地域を占領できたが、その後は占領地域を拡大することができず、ハルキウ市等に対する空爆が目立っている。特に、ハリキウ州リプツィにあるウクライナ軍の拠点に対し、最も破壊力があるといわれる滑空爆弾FAB-3000 M-54で攻撃した映像をロシア情報筋が6月20日に公開した。映像では、攻撃目標と思われる建物から10mほど離れた場所に着弾したにもかかわらず、かなりの破壊を引き起こしたと指摘した。

 この滑空爆弾は、重量約3000kg、TNT火薬1400kgを搭載し、最大貫通力が 183 mm、装甲破壊半径は 42m、破片散布半径は 260mとされる1。大型の3000㎏滑空弾を搭載できる爆撃機は、ツポレフTu-22M爆撃機に限定されるため、これを多用した攻撃は難しいとの指摘もある2。しかし、これまでに250kg、500kgあるいは1500kgの滑空弾を発射して、ウクライナ軍陣地を無力化してきたロシア軍が、これらと併用した運用法により、この3000㎏滑空弾を活用すれば、ウクライナ軍は壊滅的な被害を受けることになる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。