[随時更新]戦略視点で捉えるウクライナ最新戦況マップ (2)

ロシア軍、東部での夏の攻勢を準備か

執筆者:岩田清文 2024年6月27日
6月18日以降、ロシア軍は東部ドネツク州での攻撃を激化させ始めたとみられる(筆者の分析に基づき編集部作成)
5月に始まった北部ハルキウ州方面へのロシア軍の攻撃が鈍化する一方、東部ドネツク州での攻撃が激化しつつある。ロシア軍はドネツク州のチャシフ・ヤールの南西、アウディーイウカの北東に位置するトレツク-ホルリフカ方面でいくつかの戦術的成果を上げたと報じられ、東部での本格攻勢を諦めていないとすれば、この夏に開始する可能性がある。【岩田清文・元陸上幕僚長が戦略視点で捉えるウクライナの戦況を随時更新の地図で解説】

 5月10日以降の、ウクライナ北東部ハルキウ州で攻撃を仕掛けていたロシア軍の作戦が、鈍化してきたようだ。作戦当初の数日間は攻撃も進展し、国境地域を占領できたが、その後は占領地域を拡大することができず、ハルキウ市等に対する空爆が目立っている。特に、ハリキウ州リプツィにあるウクライナ軍の拠点に対し、最も破壊力があるといわれる滑空爆弾FAB-3000 M-54で攻撃した映像をロシア情報筋が6月20日に公開した。映像では、攻撃目標と思われる建物から10mほど離れた場所に着弾したにもかかわらず、かなりの破壊を引き起こしたと指摘した。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
岩田清文(いわたきよふみ) 元陸上幕僚長。1957年、徳島県生まれ。79年、陸上自衛隊に入隊(防大23期)。第7師団長、統合幕僚副長、北部方面総監などを経て、2013年、第34代陸上幕僚長に就任。16年に退官。著書に『中国、日本侵攻のリアル』( 飛鳥新社)、『自衛隊最高幹部が語る令和の国防』 (新潮新書)、『自衛隊最高幹部が語る台湾有事』(新潮新書)、『中国を封じ込めよ!』(飛鳥新社)、『君たち、中国に勝てるのか 自衛隊最高幹部が語る日米同盟VS.中国』(産経セレクト)。
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