ヘルソン、拷問施設の実態を探る――男性の精神を破壊するためのレイプ
2024年6月28日

ロシア軍が設けた虐待施設で、拘束のために使われたと思われる用具(ウクライナ国家警察ヘルソン警察総局提供)
ウクライナ南部ヘルソン州の農村を巡って翌朝の8時半、筆者たちが滞在するミコライウのホテルに、車2台が迎えに来た。いずれにも金融機関のロゴが描かれている。案内役の元ヘルソン州知事アンドリー・プティロウが手配したのは、まさかの現金輸送車だった。
「本来なら装甲車両に乗っていくのですが、目立ちすぎて攻撃の標的となってもいけないと思って」
だから、目立たないけど頑丈なのが、この現金輸送車だという。確かに、フロントガラスや窓は分厚く、ドアには二重の鍵がかかる。ミサイルに直撃されるとひとたまりも無いが、少々の破片が飛んでくる程度は耐えられそうだった。
ウクライナで戦争犯罪の訴追に取り組むサンマリノの弁護士アキーレ・カンパーニャとアンドリー、筆者たちは2台に分乗し、60キロあまり南東のヘルソン市を目指した。

ヘルソン訪問で乗った現金輸送車の内部(以下、特記のないものはすべて筆者撮影)
空港のターンテーブルが陣地に
約1時間の行程の真ん中あたり、ヘルソン州に入って最初の村ポサド・ポクロウスケに立ち寄る。数千人規模の大きな村だったが、占領中は最前線となって多くの家屋が壊され、村人は全員が避難した。奪還後、再建が始まった。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。