サウジ・UAE、国際LNG市場進出の狙いを捉える「市場・知見・外交」の三視点
2024年7月4日
サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は海外プロジェクトへの参画を通じて国際LNG(液化天然ガス)市場でのプレゼンスを拡大させる動きを見せている。UAEのアブダビ国営石油会社(ADNOC)は5月20日に米国リオグランデLNGの権益11.7%を取得する合意を、22日にはモザンビークで計画される三つのLNGプロジェクトに原料ガスを供給する同国エリア4鉱区の権益10%を取得することを発表した。サウジアラビアは6月13日に国営石油会社サウジアラムコがリオグランデLNGからの長期LNG供給に関する基本合意書(HOA)を締結した。
サウジアラビアとUAEは同じペルシャ湾岸に位置するイランやカタールと比べて、天然ガス埋蔵量・生産量は膨大とは言えない。サウジアラビアは生産した天然ガスをすべて国内需要に充てており、UAEは1970年代からLNGを輸出しているとはいえ、カタールからのパイプラインガスの輸入を勘案すると、天然ガスの純輸入国であり続けてきた。両国は2000年代から自国のエネルギー需要を満たすためのガス開発に注力してきたが、なぜ今になって国際ガス市場に目を向けているのだろうか。そして、両国が国際LNG市場への進出によって見据える利益とは何だろうか。
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