中国が台湾との思想戦で利用する「米国不信」という楔(ウェッジ)
2024年7月16日

頼政権は米国が主導する自由民主主義陣営への接近を唱えるが、中国及び親中派は米国不信論を広めている[米在台協会(AIT)台北事務所の新所長に就任したレイモンド・グリーン氏(左)の話に耳を傾ける頼清徳総統=2024年7月10日、台北・総統府](C)AFP=時事
台湾は新たな緊張感に包まれている。中国からの軍事的な威圧行為は言うまでもない。だが、それにも増して重要な動きが始まったからだ。中国との統一を拒否する頼清徳政権と、立法院を握る対中融和路線の国民党・台湾民衆党が対立を深め、民主主義政府の混乱が出現している。国際的に猛反発を呼ぶ軍事侵攻や経済封鎖ではなく、民主主義的な手続きに則って台湾独立派を骨抜きにするという中国の戦略がうなりを上げて動き出している。その核となるのは米国への不信感である。
6月末に台北で開かれたアジア・ジャーナリズム・フォーラム2024に参加した。そこで聞いたのは、台湾の参加者が口々に語る、中国が親中派勢力を使って台湾政治に対する影響力を強めている事態への懸念である。台湾主要メディア幹部は「台湾の分岐点となる大きな動きの始まりだ」と分析した。
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