日本で商業栽培されている遺伝子組み換え作物は「青いバラ」と「青い胡蝶蘭」だけにとどまる[シンジェンタの遺伝子組み換えトウモロコシ「VIP」](フィリピン・パンガシナン州にて筆者撮影)

 遺伝子組み換えとは、ある生物から取り出した遺伝子を他の生物に組み込んで、新しい性質を持たせる技術だ。遺伝子組み換え作物を話題にすると、「危険じゃないか」とよく言われる。最近も、都内在住の女性と会食中に「危なくないの」と聞かれた。その時、彼女はドレッシングのかかったサラダをほおばっていた。

 ドレッシングによく使われる食用油やコーンスターチは、遺伝子組み換え作物を原料とする場合が多い。彼女は不安を語ったその口で、遺伝子組み換え作物の加工品を摂っていた可能性が高い。

 日本は食用油の原料となるダイズとナタネのほとんどを輸入している。輸入元となる主要な国々において、遺伝子組み換えの占める割合は、概して8割~9割に達する。コーンスターチの原料となるトウモロコシにしても、遺伝子組み換えが9割を占める。

 バイオテクノロジーを使った作物の開発企業などで構成するバイテク情報普及会(東京都中央区)によると、日本が年間に輸入する約3000万トンの穀物のうち、半分以上が遺伝子組み換え作物と推定されている。

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