連載小説 オペレーションF[フォース] 第77回
2024年8月10日

(C)EPA=時事[写真はイメージです]
【前回まで】ハワイ会談から3年後。在日米軍は全ての基地から撤退した。それに伴ってロシアや中国の挑発は激化し、北朝鮮のミサイルが仙台市沖に弾着する事態まで起きる。
Episode7 独立独歩
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宮城県庁の知事室の控えの間で、土岐は既に30分以上、待たされている。隣では、江島が貧乏揺すりを始めた。
1時間半前に始まった、日本海連合の代表という立場で県庁を訪れた新潟県の戸増知事と、前園治美[まえぞのはるみ]宮城県知事の会談が長引いているのだ。
土岐は、財務省から日本海連合事務局に出向している周防に、LINEで様子を尋ねた。
“トラブっているのか”
“宮城県知事が、頑なで”
3日前に仙台沖に落ちた北朝鮮のミサイル発射を受けて、戸増知事が、沿岸の防衛力強化での連携を呼びかけた。
だが、リベラル派の前園知事は、日本の本土を越えて飛来したミサイルを、自衛隊が打ち落とさなかったことには、厳しい非難の声を上げたが、宮城県へのレーダーやミサイル設置には、消極的だった。
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