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【前回まで】在日米軍が完全撤退した日、江島副総理は宮城県庁にいた。仙台沖にミサイルが弾着してもなお、防衛強化に消極的な前園知事に、防人税導入を説得するためだった。

 

Episode7 独立独歩

 

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 移動中の車内で、土岐からのショートメールが、周防に届いた。

 “さすが、江島さん! 前園知事が軍門に降った。『防人税』導入に協力するそうだ”

「よし!」

 思わず、声が出た。

「何か、朗報かね?」

 すかさず戸増に尋ねられた。

「江島大臣が、前園知事の説得に成功されたそうです」

「そうか! やはりあの方は、素晴らしいな。いや、凄い!」

 感激屋の戸増は、何度も大きくガッツポーズを繰り返した。

 戸増はとにかくエネルギッシュだ。

 県内に世界最大級の原発を抱えているという現実に真摯に向き合うだけではなく、「新潟副首都計画」なるものを提案している。海を隔ててロシア、朝鮮半島、中国に接する本州日本海側唯一の政令指定都市を擁する新潟こそ、日本の未来を担う牽引役たるべし、と気勢を上げてきた。

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