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【前回まで】北朝鮮から発射されたミサイルの弾着予想地点は東京湾――。必死の迎撃にもかかわらず、ミサイルは東京湾に落ち、タンカーが被弾。その時、日本は何ができるのか?

 

Episode7 独立独歩

 

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 都倉を乗せた公用車が、官邸に迫ってきた。

 車内では、樋口と磯部が時々刻々と更新される情報を、逐次都倉に伝えている。

 命中したタンカーは、積み荷の原油を運び終えた後だったので、広範にわたる被害は免れた。

 だが、10人ほどと思われる乗組員は、全員絶望的。

 日本海側の海上及び航空自衛隊基地は、臨戦態勢の準備を進めている等々……。

 それらを聞きながらも都倉の脳裏には、深刻な疑惑が湧き上がっていた。

 ――ブルは大風呂敷を広げるオッサンだから、分からないわよ。何か事件が要るんじゃないの?

 劉唯は、日本国民が、国家の防衛に真剣になるためには、もっと深刻な事件が必要だとほのめかした。

 その上で、「こっちでも、何か方策を考える」とまで言った。

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