世界全体で年間4億トン以上のプラスチックが生産されている (C)REUTERS/Issei Kato

[ドイツ・ノイグロープゾー発/ロイター]ドイツの科学者たちがプラスチックを食べる菌類を特定した。地球では毎年、何百万トンものプラスチックごみが海へと流れている。世界各地の研究者はプラスチックごみ問題の解決に挑んでいる。

 ドイツ北東部のシュテヒリン湖で行われた調査では、微小な菌類が、一部のプラスチックだけを糧によく育つ様子が確認された。これにより、一部の菌類が合成ポリマーを分解できることが示された。

 ライプニッツ淡水生態学・内水面漁業研究所の研究グループを率いるハンス=ペーター・グローサート氏は、ロイターTVに対し「我々の研究で最も驚くべき発見は、菌類がいくつかの合成ポリマーを与えられたときに限って成長し、さらにはバイオマスを形成できたことだ」と語った。グローサート氏は、この菌類が下水処理場や他の管理された環境下で役立つと考えている。自然環境の中でプラスチックごみが分解されるには何十年もかかる。

 ただし、菌類がプラスチックごみ問題を根本的に解決する可能性は低いと言う。研究チームは、この研究は世界的なプラスチック汚染問題解決に向けた策のほんの一部に過ぎないと警告している。食品包装などのごみが自然環境に放出される量を減らす必要があることは変わらないようだ。グローサート氏は「自然界にできる限りプラスチックが放出されないよう努めるべきだ。プラスチックは化石燃料の炭素からできており、菌類がプラスチックを分解することは、石油やガスを燃やしてCO2を大気中に放出することと変わらない」と、その理由を語っている。

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