連載小説 オペレーションF[フォース] 第81回
2024年9月7日

(C)EPA=時事/MIKHAIL METZEL/SPUTNIK/KREMLIN POOL[写真はイメージです]
【前回まで】北朝鮮のミサイルが遂に東京湾に落ちた。タンカーが被弾し、死傷者多数。反撃態勢の整備を訴えようとする都倉防衛大臣に、制服組出身の樋口は冷静な対応を求めた。
Episode7 独立独歩
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官邸到着直前に、防衛省事務次官の辻岡から、“各幕僚長は市ヶ谷で待機、というご指示が官邸よりございました”というメールが届いた。
都倉が総理執務室に到着すると、南郷は人払いをした。
官房長官をはじめ主要閣僚は、顔をこわばらせて部屋を出ていった。
ソファに都倉を誘い、正面に陣取った南郷が口を開いた。
「私は、今晩、辞職する」
「総理、それは無責任が過ぎます!」
南郷が、「まあ、待て」と言いたげな身振りで、いきり立つ都倉を抑えた。
「最後まで話を聞いてくれ」
「失礼しました。伺います」
短慮な自分に驚き、そうとう精神的に参っているのだと自覚した。
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