
2018年に廃止が公表された減反政策は、事実上、転作奨励などの形で続いている[2024年8月27日、東京都江東区](C)AFP=時事
農林水産省が7月30日に開いた食料・農業・農村政策審議会食糧部会で配布された「米の基本指針(案)に関する主なデータ等」。この資料に、今回のコメ不足のからくりが概説されている。
すなわち、2023年産において作柄が平年通りなら、我々が普段食べている「主食用米等」の生産量は669万トンとなるはずだった。ところが実際には661万トンと、8万トン減った。
これは、思いのほか作付面積が減ったことが影響している。農林水産省は全国の作付面積を125万1000ヘクタールで想定していたが、実際には124万2000ヘクタールと9000ヘクタール少なかった。同省は「農家の高齢化に加え、作付け意欲の減退や飼料用米への転換が拍車をかけた」とみている。コメ卸の関係者は「コメが安いので、転作したのだろう」と付け加える。
コメはパンや麺類よりも“値ごろ感”が生まれていた
生産量が減ったところに、消費量が増えた。その要因は物価の高騰だ。パンや麺などほかの主食が軒並み値上がりするなか、それでもコメは相対的に値ごろ感がある(図1)。
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