NATOの調査船に搭載されたAUVは、北極圏の海でロシアの潜水艦を追尾する目的で活用されている[ノルウェー北部トロムソ、2024年6月7日](C)AFP=時事

 日本は世界で6番目の広さの排他的経済水域(EEZ)を有している。海洋に関するビジネスといえば漁業、海運、インフラ、造船などが挙げられるが、日本の政府や事業者は広大なEEZを活用しきれているのであろうか。海外では洋上風力発電や海洋ロボティクスといったビジネスが生まれている中、日本は海外勢に遅れることなく、成長領域であり経済安全保障上も重要な海洋におけるビジネスを振興することが不可欠である。

 海洋におけるビジネスは、既存技術ではコストがかかり過ぎるなど事業性に関するリスクが比較的高くなりがちであり、推進する上での課題が大きい。これらの課題を解消するために、アナロジー思考を用いて米国の宇宙政策とデュアルユース(軍民両用)に着目する。米国の宇宙政策からはベスト・プラクティスとしての教訓を得て、デュアルユースからは産業振興策としての可能性を探索する。

 一般に、宇宙に関しては先端的な技術・取組が導入されているだけでなく、成長市場として多くの人々の興味を惹いている。その先進事例は官民どちらのケースをとっても米国にあるであろう。デュアルユースについては、戦後日本の一貫した安全保障に対するネガティブな空気が解消されつつあることから、公平な目で見た可能性の分析が受け入れやすくなってきたといえる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。