連載小説 オペレーションF[フォース] 第84回
2024年9月28日

(C)EPA=時事[写真はイメージです]
【前回まで】ミサイルを確実に迎撃できる「奇跡のレーダー」。日本人が開発した新技術を、前総理らが封印したという。暁光新聞の草刈に、この特ダネを防衛省に当てる指示が下る。
Episode7 独立独歩
15(承前)
「副総理、中国大使がお見えになりました」
官邸スタッフからの案内で、駐日中国大使の趙孟毅[ジャオ・モンイー]が、厳粛な表情で入室してきた。
「江島副総理、お招きをありがとうございます。敬愛する日本国民の尊い命が奪われたこと、心からお悔やみ申し上げます」
趙は、流暢な日本語を話す。北京大学から、東大に留学し、大学院で博士課程まで進み、財政学を学んだ。中肉中背の体格だが、日本で柔道を学び、三段の腕前だ。
当時は日中関係が良好で、一時期、江島事務所でインターンシップを体験したこともある。以来、二人の付き合いは、30年以上続いている。
そして、2年前から、全権大使として日本に赴任している。
今回の訪問は、江島から「非公式でご相談がある」と持ちかけたものだ。
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