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【前回まで】都倉響子を総理に――オペレーションFのラストミッションが各方面で動き出した。だが、その契機となった北朝鮮のミサイルへの対処は、今も定まっていなかった。

 

Episode7 独立独歩

 

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 江島が、総理執務室に赴くと、南郷は官房長官の伏見、環境大臣の島津と額を突き合わせていた。

「お邪魔かな?」

「どうぞ。ちょうどあんたを呼ぼうと思っていたところだ」

 江島と入れ替わるように、伏見と島津は退出した。

「中国とアメリカからの都倉プッシュについては、今、手を尽くしている。それなりに奏功すると思う」

 江島の報告を、南郷は喜んだ。

「俺の方は、はかばかしくない。そもそも総理辞任も、大反対をされている」

「辞任は、総理の自由だろう」

「そうなんだが、こんな状態の時に、誰が総理を引き受けるんだと。逃げずに落とし前を付けよというんだな」

「誰も総理をやりたがらないなら、都倉君に任せればいいじゃないか」

「そういう理屈は、通らないようだ」

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