前回の利上げ局面は2年ほどで終わり、多くの銀行はむしろ資金利益が悪化した[記者の質問を聞く日銀の植田和男総裁=2024年9月20日午後、日銀本店](C)時事

「金利のある世界」。長年にわたって政策金利が0%以下だった日本に、ようやく金利のある日常が訪れている。

 日本銀行は3月のマイナス金利解除に続き、7月に追加利上げを決定。現在の政策金利0.25%程度は2008年12月以来の水準だ。金利のある世界では、貸出金利や国債・社債の運用利回りが上昇するほか、銀行が日銀の当座預金に置いている「預け金」にも利子が付くため、銀行にとって極めてフェーバーだ。

 物価と賃金の好循環を背景に、市場には日本の政策金利が2025年末までに1%に到達するとの見方もある。収益上昇への期待から、国内銀行の株価も昨年来、高止まって推移する。

 しかし、金利のある世界に不穏な足音が忍び寄っている。日経平均株価は8月1日~5日にかけてと、9月4日に大幅安となったが、きっかけはいずれも米ISM製造業景気指数の悪化だ。7月の46.8に続き、8月の指数も47.2となり、好況・不況の分岐点となる50を5カ月連続で下回った。いずれも事前予想を下回っている点も見逃せない。

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