
サウジアラビアの最優先課題は電力部門での石油から天然ガスへの燃料転換[ジャフラガス田のガス処理プラント建設契約に臨んだ現代建設、現代エンジニアリング、サウジアラムコのトップ。尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領(後列中央)も調印式に立ち会った=2023年10月23日、サウジアラビア・リヤド](C)EPA=時事
サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)による「ネットゼロ」目標の発表から3年が経過しようとしている。産油国である彼らのこれまでの取り組みは、アブダビ国営石油会社(ADNOC)のスルタン・ジャーベルCEOのCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)議長就任劇やサウジアラビアの未来都市NEOMでの大規模グリーン水素製造プラント計画など、常にその真意や実現性が論争の的となってきた。しかしその中で、湾岸諸国の化石燃料生産を支えてきた両国の国営石油会社(NOC)がネットゼロに向けて着実に進めているのが、天然ガス資源の開発・生産である。
天然ガスは石炭・石油よりも温室効果ガスの排出量が少ない、再生可能エネルギー移行への「橋渡し燃料」として注目されているほか、炭素回収・貯留(CCS)技術と組み合わせることで脱炭素燃料の一つであるブルー水素の原料にもなる。サウジアラムコやADNOCは天然ガス増産に大規模投資することで、国内での発電利用から液化天然ガス(LNG)・ブルー水素の輸出まで、さまざまな利用オプションを開発している。
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