イスラエルによるレバノンのヒズブッラーへの攻撃が激しさを増している。9月23日、イスラエル軍はレバノン南部を中心にヒズブッラー関連施設約1300カ所への空爆を実施した。レバノン保健省の発表によると、9月24日朝の時点で少なくとも558人の死者、1835人の負傷者が出たことが確認されている。イスラエル軍は24日以降も空爆を続けており、この数日間でレバノン側に700人を超える死者が出ているが、この数字はまだ上がっていくだろう。
イスラエル軍とヒズブッラーは、昨年10月7日にハマースがイスラエルへの奇襲攻撃を行った翌8日から交戦状態に入っている。双方は連日のように攻撃を繰り返してきたが、9月23日以前のおよそ1年間でレバノン側に出た死者数は約600人、イスラエル側は約50人と、パレスチナ側のみで4万人超の死者を出しているガザ戦線と比べると被害規模は抑えられてきた。
均衡を破った9月23日の空爆
イスラエルとヒズブッラーは事実上の戦争状態に入ってはいたものの、両者はともに全面的な戦争に発展することは避けようとしてきた。原則として攻撃対象は国境付近の戦闘員や軍事施設を優先的な標的にしており、砲撃、空爆といった攻撃を主な手段として国境線を越えた地上戦はほとんど行われてこなかった。民間人の死者の割合を見ても、9月23日以前のレバノンでは1~2割に留まっており、死者の6~9割が民間人と推計されているガザとは状況を大きく異にする。
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