「移民に寛容」なスウェーデンで移民が減少――右派連立政権が進めるパラダイムシフトの中間報告
2024年10月16日

クリステション政権の誕生以降、「移民に寛容なスウェーデン」のイメージは大きく変わった[2022年10月18日に首相に就任したウルフ・クリステション穏健党党首=2024年6月15日、ストックホルム](C)AFP=時事
「これからスウェーデンの移民政策では、パラダイムシフトが起きる」
2022年10月18日に就任したウルフ・クリステション首相は最初の施政方針演説でこう宣言した。
この施政方針演説から約2年が経過した2024年8月8日、マリーア・マルメル・ステーネルガード移民大臣(現外務大臣)は移民に関する記者会見を行った。その会見では、EU(欧州連合)内で庇護申請数が増加しているものの、スウェーデンでの庇護申請者数は減少傾向が続いており、本年は1997年以来最低水準の約1万人となる見通しであること、50年ぶりに移出民が移入民を上回ると予想されること、2023年は特にイラク、ソマリア、シリア出身者の移出が多かったこと、そして承認した滞在許可も減少し続けていることが発表された。
1970年代以降、スウェーデンは人道を理由に外国人を受け入れ、その人権を尊重する政府の方針は多くの難民を惹きつけてきた。また、スウェーデンでは難民条約が定める以上のカテゴリーを国内法で設け、「庇護必要者」と認定し難民を受け入れてきた。
近年での象徴的な出来事は2015年のシリア難民受け入れであろう。この年、スウェーデンでは16万人以上の者が庇護申請を行い、人口比ではヨーロッパ最大となる約3万4000人の難民の受け入れを認めた。
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