日本政府が責任を認め謝罪していることや、日韓合意に基づき生存していた元慰安婦女性の7割以上へ賠償金を支払ったことなどは、ドイツ市民にほとんど知られていない[ベルリン市ミッテ区の慰安婦像=2024年8月14日](C)EPA=時事

ベルリンに波及した日韓対立

 日本軍の慰安婦問題が日韓の政治的な対立の焦点となって久しいが、問題はドイツにも波及している。2011年に韓国・ソウルの日本大使館前への設置以来、米サンフランシスコなど世界各地に次々と設置されている慰安婦像。ドイツでもこれまで様々な都市に設置しようとする韓国側と、それを阻止しようとする日本政府の対立があった。特に、2020年9月にベルリン中心部のミッテ区に在独の市民団体・コリア協議会によって設置された慰安婦像は、日本でも大きな話題になってきた。

 当初から日本政府は像の撤去を求めてきたが、市民の撤去反対運動やミッテ区議会による支持を受け、これまで4年間設置が続いた。像が立っているのは、多様なルーツを持つ人たちが住むモアビット地区の、静かな住宅地の小さな交差点のベンチ前の公有地だ。特に目立つ場所でもなく、公園の近くの緑豊かな地域に溶け込んでいるように見えた。

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