蜜月を演出するロシアと北朝鮮の間には、微妙な温度差も感じられる[モスクワを訪問しプーチン大統領(左)と面会した北朝鮮の崔善姫外相](C)EPA=時事
 

 11月5日付は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が平安(ピョンアン)北道の洪水被害復旧建設現場を現地指導したことを報じた。現地では、李煕用(リ・ヒヨン)朝鮮労働党平安北道委員会責任書記のほか人民軍部隊と白頭山(ペクトゥサン)英雄青年突撃隊の指揮官たちが金正恩を出迎えた。北朝鮮メディアが何度も報じてきたように、建設現場に動員されているのは兵士と青年である。

 金正恩は、12月の党中央委員会全員会議(総会)に合わせて最上の水準で「被害復旧戦闘」を終わらせるよう指示した。12月の会議とは、1年間を総括して新年の指針を提示するため、近年は年末開催が通例となっているものである。10月21日に慈江(チャガン)道の被害現場を現地指導した際には、11月初めとしていた工期設定を12月初めまでにするよう指示していたため、再延長と言える。

 翌6日付の第1面も洪水被害復旧関連の記事であった。金正恩自身は姿を現さなかったものの、4日と5日の両日に平安北道の復旧作業に動員された建設者たちに贈物を伝達する集会が開かれたとの内容であった。平安北道の道都である新義州(シニジュ)市において11月の平均最低気温は氷点下になる。そのような中で「季節に応じた必需品」が「慈悲深い親(注:金正恩)の体臭が熱く宿っている贈物」として送られたのである。「最高司令官同志の息吹と体臭」(8月27日付)といった表現で、金正恩の「体臭」はたびたび散見される。

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