自衛隊のトップ人事を巡り、陸海空の攻防が水面下で密かに熱を帯びている。陸上自衛隊出身の吉田圭秀統合幕僚長(62)の半年間の定年延長が決定し、10年ぶりに航空自衛隊からの登用が期待された内倉浩昭航空幕僚長(59)への交代が微妙な情勢になってきた。部隊の一元指揮を担う自衛隊念願の「統合作戦司令部(JJOC)」が来年3月に発足するが、新設される初代司令官の座を海上、航空自衛隊が狙う。不祥事や人間関係も絡み、“人事戦線”は混迷を深めている。
「吉田氏の続投は既定路線。定年延長は本来『裏技』だが、JJOC発足の節目を控え、立ち上げに向けて余人を持って代えがたい存在だ」。ある防衛省幹部はこう打ち明ける。
陸自トップの陸幕長だった吉田氏は、戦後防衛政策の大転換と言われた2022年末の「安全保障3文書」の改定で、無人機部隊の創設や陸自通信学校でのサイバー人材育成などの改革案を次々と主導。自衛隊きっての「頭脳派」だ。ハラスメント対策にも取り組み、組織改革で成果を上げ、なるべくしてなったと言える。
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