国内では不人気で、西側でもてはやされるサンドゥ大統領を、ソ連末期の最高指導者ミハイル・ゴルバチョフ氏のようだと揶揄する声も出始めている[2024年8月31日、モルドバ、キシナウ](C)EPA=時事

 2024年秋、世界の注目は大国アメリカの大統領選に注がれたが、同じ時期に東欧の小国モルドバでも、国の命運を左右する重大な投票があり、少なからぬ関心を集めた。人口ではアメリカの135分の1、経済規模ではアメリカの1654分の1にすぎない小国モルドバが、何ゆえに一部で強い関心を抱かれているのであろうか。

 端的に言えば、モルドバは小国ながら、東欧の国際秩序の行方を左右する試金石となっているからである。モルドバの隣国であるウクライナは、欧州連合(EU)および北大西洋条約機構(NATO)加盟路線を打ち出したことからロシアとの対立を深め、2022年2月以降ロシアによる全面軍事侵攻にさらされている。モルドバは、軍事的には従来「中立」を標榜してきたものの、EU加盟路線ではウクライナと足並みを揃える。それゆえ、モルドバはプーチン・ロシアの「次の標的」になってしまうのではないかと、国際的に広く懸念されているのである。

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