政府「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想」に3つの根本的欠陥

執筆者:スティーブン・ギブンズ(Stephen Givens)2024年11月22日
ハコモノからユニコーンは生まれるのか?[グローバル・スタートアップ・キャンパス構想を紹介する広報動画の一場面](C)内閣府

岸田内閣の「新しい資本主義」プロジェクトは再検討が必要

 日本は戦後、製造業で華々しい成功を収めたが、1980年代に生まれたインターネット関連産業では同じような成功を収めることはできなかった。この失敗は、過去30年間続く日本経済衰退の大きな要因となっている。松下(現パナソニック)、ソニー、ホンダを輩出した日本だが、独自のアップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)、アマゾン、メタ(フェイスブック)を生み出すことができなかった。アップルのiPodではなく、ソニーのウォークマンがiPhoneに進化しなかったことは悔しい。

 インターネット関連産業における日本の低迷は、日本経済にとって悩みの種である。なぜ日本には、シリコンバレーをシリコンバレーたらしめている要素、つまりグローバルに通用するイノベーション・エコシステムがないのだろうか? 日本のビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、ジェフ・ベゾスはどこにいるのだろうか? 最先端技術を創造し、商業化に成功することで億万長者になった教授や大学院生がいるマサチューセッツ工科大学(MIT)やスタンフォード大学のような大学は、日本のどこにあるのだろうか? リスクの高い新興企業に何十億ドルもの資金を調達するベンチャーキャピタルはどこにあるのだろうか?

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