
GEの企業価値は約6年間で5倍に[2024年4月2日、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)で開会ベルを鳴らすカルプ氏(左から3人目)。その右はGEベルノバのスコット・ストレイジックCEO。GEはこの日、会社3分割を完了して新スタートを切った](C)AFP=時事
「エンジンの納品が前期比20%以上改善するなど、大きな進歩を遂げた。独立企業としての最初の年に堅実な成果を挙げられると確信している」
10月22日、2024年7〜9月期決算を発表した米GEエアロスペース会長兼最高経営責任者(CEO)のローレンス・カルプ(61)は、米ボーイングの長期ストや熟練労働者不足によるサプライチェーンの混乱など航空機市場に逆風が吹く中、受注が前年同期比28%増、調整後EPS(1株当たり純利益)が同25%増と前四半期までの好調な業績が通期も続くことを自信たっぷりに語った。
カルプが「独立企業としての最初の年」と殊更に強調したのには理由がある。GEは2023年1月に医療機器事業を「GEヘルスケア・テクノロジーズ」(GEHC)に分離・独立させたのに続き、2024年4月にはエネルギー事業を「GEベルノバ」(GEV)に分社化するとともに、GEの存続会社として残った本体を航空・宇宙事業を手がける「GEエアロスペース」に商号変更。このいわゆる「会社3分割」は、2018年10月にGE史上初めて外部からCEOに迎えられたカルプが採用した経営再建策であり、ジャック・ウェルチ(1935〜2020年)、ジェフ・イメルト(68)両CEO時代の多角化で膨張した事業分野を整理・再編し、組織の簡素化によって意思決定を迅速にする狙いがあった。その「3分割」が完了し、GEにとって新たな時代が始まるとの意味合いを印象づけたかったのだろう。
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