2010年代以降に、戦争の数は、特に急激に増加した[レバノンの首都ベイルート南郊で、イスラエル軍の攻撃を受けて立ち上る煙=2024年11月12日](C)AFP=時事

 現在の世界は、極めて武力紛争の数が多い状態にある。2024年も高止まりだった。非常に犠牲者数の多いロシア・ウクライナ戦争や、ガザ危機を中心とする中東の一連の戦争、そしてアフリカ大陸の「アフリカの角」からサヘルにかけての複数の諸国にまたがる諸々の戦争は、以前から深刻化していた戦争群だが、今年もやはり激しさを和らげることなく続いた。

 しばしば、第二次世界大戦以降の世界で戦争がなくなったときはない、と言われることがある。それは事実である。ただし約80年の歴史の中で、武力紛争の数の増減には、様々な浮き沈みがあった。

 近年では、冷戦が終焉した1990年代初頭に、武力紛争数が顕著に増加したことがある。ただしその後は、徐々に武力紛争数は抑え込まれた。ところが2010年代になって一気に増加した(UCDP[Uppsala Conflict Data Program]https://ucdp.uu.se)。

 なぜ、現代世界では、戦争が多発しているのか。そもそも、どのような事情で、戦争の数は減少したり、増加したりするのか。そのような世界的な傾向の変化は、どのような構造的な事情によって引き起こされているのか。

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