第2次トランプ政権下では、中国において「米国との戦力均衡」達成への意識が高まる可能性がある[中国・新疆ウイグル自治区で建設中の核ミサイルサイロとされる衛星写真=2021年7月29日、2021 Planet Labs, Inc.提供](C)AFP=時事

 米トランプ政権の2期目を控え、中国が核戦力の増強を加速させている。米国防総省は毎年議会に提出している中国の軍事動向に関する報告書の2024年版を同年12月に公表し、「中国の核弾頭数は本年前半に600発に到達したとみられる」と指摘した1。背景の一つとして、ドナルド・トランプ氏が1期目に軍事面を含め、中国に強硬な政策を展開したため、習近平指導部が核戦力増強により戦力均衡を目指そうとしていることが挙げられる。

 しかしながら、中国の現在のプルトニウム保有量では、米国、あるいはロシアの配備核弾頭数に並ぶことは困難である。そのため、ロシアの技術支援を受け、2023年に試運転に入った高速増殖炉(FBR)に関心が集まる。FBRは使用済み燃料を再処理することにより、核兵器への転用に適した超高純度のプルトニウムを大量に獲得できるためである。

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