カルトにも似た反政府勢力 ドイツを揺るがす「ライヒスビュルガー」
2025年1月22日

「ライヒスビュルガー」と呼ばれる人々は、戦前のドイツ帝国がまだ合法的に存在すると信じており、ドイツ連邦共和国の法律や制度を認めない[デモ行進するライヒスビュルガーたち=2024年8月31日、ドイツ・ミュンヘン]
様々な集団に計2万5000人
2022年12月、ドイツ政府に対するクーデターを計画していた「ライヒスビュルガー(帝国市民)」のメンバーが、警察の一斉摘発を受けた。武力を用いた国家転覆計画はドイツ社会を震撼させ、世界中で報道された。同グループは、独自の国家の樹立を試みていたとされる。
さらに2024年11月初め、陰謀論を信じる極右過激派グループ「ザクセン分離主義者」のメンバー8人がクーデターを企てていたとして警察に逮捕された。ドイツ東部を武力で占領し、「不要」な人種を排除して、ナチズムに触発された新体制を樹立することを目指していたと当局は発表している。
このように現政府を認めず、独自の国家体制づくりを志向するグループがドイツには少なからずいる。なかでも、戦前のドイツ帝国はまだ合法的に存在すると信じ、ドイツ連邦共和国という国家の存在、現在の法律や制度を認めない人々、運動は「ライヒスビュルガー」と呼ばれる。ドイツにおける反憲法活動を調査する連邦憲法擁護庁によると、2023年時点で約2万5000人がその動きに加わっている。2022年のクーデター計画の中心は「愛国者連合」と呼ばれる一派だが、他にも非常に多様なグループが存在し、その信条や活動もさまざまだ。1970年代に独自国家を宣言したグループが現れ、2010年からその数も種類も増えていったという。
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