トランプ政権の「一国主義」と「帝国主義」

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執筆者:フォーサイト編集部2025年1月26日
第2次トランプ政権では西半球に対する外交政策も重要な意味を持つだろう[ラスベガスでチップへの課税廃止を表明するトランプ大統領=2025年1月25日](C)AFP=時事

 トランプ大統領の掲げる「アメリカ・ファースト」は、第一義的には他国への支援や関与を回避する姿勢とされます。最近ではガザの停戦合意に関する「(停戦が維持されるか)確信はない。あれは我々の戦争ではない。彼らの戦争だ」との発言に、その本質がよく出ているように感じました。

 ただ、アメリカ・ファーストが常に引き籠りを意味するわけではないことも理解しておく必要がありあそうです。この一国主義の源流には第5代大統領ジェームズ・モンローが1823年に打ち出したモンロー・ドクトリン(ヨーロッパ諸国の紛争に干渉しない一方、西半球への干渉も拒否するという外交姿勢)がありますが、これは「西半球は自国の勢力圏として確保する」という覇権主義の側面も併せ持ちます。19世紀半ばの米墨戦争、さらに19世紀後半から20世紀初頭にかけてのラテンアメリカ諸国への介入が、そのことをよく示します。

 トランプ大統領は就任前も、そして就任演説でも第25代大統領ウィリアム・マッキンリーに言及しました。マッキンリーは高関税政策を採るとともに、米西戦争などの帝国主義的政策を推進したことで知られます。今週取り上げる英エコノミスト誌の社説は、トランプ政権の一国主義と背中合わせの関係にある「古くて新しい野望」に注目しています。

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