マドゥロの3期目就任は、欧米日に加え、アルゼンチンをはじめラテンアメリカ諸国の大半が承認していない[1月10日の「就任式」でスピーチするマドゥロ氏=ベネズエラ・カラカス](C)AFP=時事

 2025年、ベネズエラは長年にわたる民主化闘争が結実するか否かの緊張が高まるなかで新年を迎えた。ベネズエラでは過去25年、「21世紀の社会主義」を標榜した故ウーゴ・チャベス大統領と後継ニコラス・マドゥロ政権のもと、民主主義が弱められ権威主義化が進んだ。彼らは選挙管理委員会(選管)や司法を含むすべての国家権力を支配し、さまざまな方法で選挙を歪め、与党勝利の出来レースを繰り返すことで長期政権化してきた。

 しかし2024年7月の大統領選挙は、反政府派の周到かつ秘密裡の準備によって、マドゥロ政権とその支配下にある選管は予想しない事態に直面した。選管がマドゥロ勝利と発表した直後に、反政府派が彼らの候補者エドムンド・ゴンサレスがマドゥロに圧勝したと発表しただけでなく、それを証明する動かぬ証拠をインターネット上に公開したのである。

 ベネズエラの選挙は機械投票で行われる。全国各地に設置された投票機は投票締切直後に集計票を自動印刷し、それを選管職員と与野党双方の立会人が確認、署名した上でそれぞれに渡される。反政府派選対本部は全国の野党側立会人に、集計票を受け取ったら速やかに送るよう秘かに指示を出し、全国3万台の投票機のうち2万5000台分を集めることに成功したのである。そしてそれらすべての画像を、2日も経たずにインターネット上に公開するという離れ技をやってのけた(https://resultadosconvzla.com/。虚を突かれた選管は、それに対して「マドゥロ勝利」を証明する集計票を見せることができず、マドゥロ勝利と発表するのみであった。

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