ミサイル部品などを積んでミャンマーに向けて航行か、と伝えられた北朝鮮貨物船カンナム1は、約三週間鈍行で迷走した末、南浦に帰港していた。 東シナ海で引き返し始めたのは、六月末のこと。目的地とみられたミャンマーで国連安保理決議に基づく貨物検査を受けるのを避け、航海の続行を断念した、との見方もされていた。 だが、オバマ米政権には当初から強硬策などなかった。横須賀から米海軍イージス駆逐艦ジョン・S・マケインなど二隻を派遣、追跡したが、北朝鮮と対決する意図はなかったのだ。 オバマ政権内には「北朝鮮の罠か」との疑いもあった。米ニューヨーク・タイムズ紙によると、北朝鮮は安保理の制裁決議と相前後して同号を出港させて、米国の貨物検査を受け、結局大量破壊兵器関連物資など何も発見されなかった――というシナリオで罠に嵌めようとしたのではないか、とも米国は疑った。米政府は、同号の積み荷の中身について確実な情報を得ていなかったのである。 しかしその後、全く新しい疑惑が浮上した。北朝鮮がミャンマーに対して核技術協力を行なっているという情報だ。 東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)出席の際、クリントン米国務長官が「北朝鮮とミャンマーの軍事協力への強い懸念」を表明した。その程度なら大ニュースではないが、長官に同行した米政府高官が匿名で記者団に「核協力」情報を漏らしたのだった。

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